ここは小さな村。
ただの村ではない。少し奇妙な村なのだ。
その奇妙な村で彷徨ってしまった私はとある大きめの和風な建物の中に入った。
「誰かいませんか~...」
すると一人の老婆が出てきた。
老婆は不思議な雰囲気をしている。
どこか遠くを見つめたと思うと、急に眼に力を込め、
「ハッ!!」と叫んだ。
老婆が見つめていた付近の空気が歪んだように見えた。
何かが吸い込まれたようなという表現の方が正しいかもしれない。
「こっちへ来な。」
私をジロジロ見た後、老婆はそう告げた。
建物の奥に入ると、私と同い年ぐらいのおかっぱの女の子が2人いた。
その子たちの名前はユキとマイコだった。
私はその子たちの近くに座った。
老婆が口を開いた。
「今からお前たちを試す。」
と、虎の絵を描いた紙きれを私に向けて見せた。
そこに書かれた虎は、私に見つめられると不思議と動き出した。
白黒だった絵は、紫色になり、顔つきが怒ったようなものになった。
私が目を離すと元に戻った。
いわゆる、私は"見える"側の人間らしい。
おかっぱ二人も私と同じ"見える側"の人間だった。
「ここへきてはいけない。ここに船の切符がある。
22時に出向する。この船にのってこの村から出ていきな。」
老婆はそう言った。
この村には悪さをする霊がいるらしい。
私達3人はこの船に乗るため、家を後にした。
外は薄暗く、気味が悪かった。
船着き場につくと、人がたくさんいた。
皆同じ船に乗りたいらしい。
「この切符は持っていませんか」
同い年ぐらいの女の子に話しかけられた。
その女の子からは邪悪な気配が感じられた。
私はこの切符のことを話してはいけない気がした。
「も....持ってないです。」
私はお尻の下に切符を隠した。
「ホントカナ...」
私は切符から何かのオーラが漂っているような気がした。
だめ、これじゃバレてしまう!!
こちらが隠していることに気づいたのか気づいていないのか
妙な笑みを浮かべて女の子は去っていった。
船が出発する時間になり私達3人は船に乗り込んだ
老婆は最後にこう言った。
「その切符を誰にもわたすんじゃないよ」
私はずっとお尻の下に隠していた。
すると突然その切符が動き出した。
とても大きな呪力が放たれていた。
「その切符持ってるじゃない!!」
とさっきの女の子がものすごい形相でこちらを見ている。
私の切符は女の子の力なのか、チリジリになってしまった。
波が大きく動き出し、船は転覆しそうになっている。
船は村へ引き戻されてしまった。
乗客は大混乱。
「誰かひとりを渡せ」
するとユキは
「...私が残るよ」と
マイコは
「ユキが残るのなら私も...」と
二人とも船から降り、女の子のもとへいった。
女の子はとてもうれしそうにしていた。
なぜかとても可愛くみえてしまった。
船は動き出した。
私は必ず助けに来るから!!といって村を後にした。
がしかし...流れ着いたのは人気の少ない島だったのだ...